この度,本学協定校であるベトナム国立交通運輸大学(UTC)土木工学部におきまして,4年次生を対象とした短期講座および研究成果発表を行いました。この短期講座は,2019年に本学とMOUを締結した際,交流内容に含まれており,2023年2月に実施した第1回,第2回※1に続き,今回が第3回となります。研究成果発表は,本学大学院理工学研究科社会環境デザイン工学専攻(博士課程)のグエンアン ドゥク博士※2から博士論文「ベトナムの建設工事への適用を目的とした再生骨材コンクリートの性能評価および設計法に関する研究」1)について発表が行われました。なお,博士論文は広くUTCの学生等が閲覧できるようUTCの図書館に寄贈しました。
※1名城大学ニュース:https://www.meijo-u.ac.jp/news/detail_28473.html
※2グエンアン ドゥク博士は,2023年9月29日に博士(工学)を取得しました。
短期講座は,「再生材料:日本における適用と技術」をテーマに,日本における建設材料の環境配慮と資源循環について講義を行いました。世界的に水の次に消費されている物質であるコンクリートに代表されるように,建設資材の資源循環は,環境影響に対し重要な課題です。特に,廃棄物管理等の環境問題を解決しなければ,地球の持続可能性(サステナビリティ)を実現できないとされています。本講座はこれら建設資材の循環をテーマに,日本の現状や問題点を示し,及ぼす環境影響をについて考えることを目的に行いました。なお,この内容は,本学理工学部環境創造工学科の講義科目(3年次,前期)である「資源循環学」の講義内容(第1回:建設資材の環境配慮と資源循環)と同様です。なお,講座資料※3は下記に公開していますので参照して下さい。
※3講座資料:https://researchmap.jp/dosho/others/43554732
研究成果は,グエンアン ドゥク博士から「ベトナムの建設工事への適用を目的とした再生骨材コンクリートの性能評価および設計法に関する研究」1)について発表が行われました。この研究は,2019年9月に博士が研究生として名城大学に入学し,2019年12月にUTCと名城大学の間でMOUを締結して本格的に共同研究が行われてきました。博士は2020年4月に博士課程に入学し,研究を進めてきましたが,その研究成果を発表しました。なお,博士はUTCならびにUTC大学院の修了生です。
参加者は約60名でした。短期講座および研究成果発表は,教員ならびに参加学生とコミュニケーションを取りながら進めました。資源循環の問題は,参加者自身が自国の持続可能な発展に欠かせない重要な課題として捉えていることが伝わってきました。
・2023年9月11日(月)13:00-14:30,短期講座
現在,ベトナムは経済発展が著しく,建設ラッシュとなっていますが,一方で膨大な建設廃棄物が発生しています。しかし,その多くが埋立処分となっています。日本における建設資材の資源循環の現状を紹介し,ベトナムにおける1.安全性と品質の保証,2.環境リスク低減,3.費用対効果を考慮した資源循環方法の構築と展開を視野に講義を行いました。
・2023年9月11日(月)14:30-15:15,研究成果発表
2022年,ベトナムはセメント生産量が世界の第3位です。一方,建設廃棄物のリサイクル率は60%以下となっています。本研究は,資源循環の観点から低品質再生骨材と普通骨材を混合使用した再生骨材コンクリートの適用を目的に検討を行いました。その結果,適切な性能評価と設計法によりベトナム関連規格の要求性能に応じた構造用コンクリートへの適用が可能であることを明らかにしました。
【参考文献】
1)Nguyen Anh Duc: Performance evaluation and design method of recycled aggregate concrete for application to construction work in Vietnam,2023年度博士論文(課程),名城大学,2023